道農協労連2016年度運動方針

<今、私たちの職場は>
私たちが日々働く農協・共済組合の職場は今、どのような状況になっているでしょうか。
残念ながら、決して働きやすい職場とは言えない実態が報告されています。自分の仕事で手一杯で心身共に余裕がなく、長時間労働やメンタルヘルス不全などで健康を害したり、セクハラやパワハラ、職場いじめが存在する職場もあります。労働時間管理や労使関係において法令順守の姿勢が見られない一部の経営者や、一方的に労働者へ我慢を強いる事例も目立っています。

<私たちの暮らし、地域の状況は>
2017年に予定されていた10%への消費税増は見送りになりました。政府は経済は上向きになっているとしていますが、日々の暮らしでは、食料品などの生活必需品が値上がりし、消費税や年金保険料の引き上げなど負担だけが増えています。輸出大企業が少ない道内では景気回復の実感が伴っていません。

<それほど困っていない?>
職場アンケートでは「生活にそれほど困っていない」「周りの民間企業よりは恵まれている」という意見も寄せられます。確かに多くの中小企業と比較すれば、農協・共済組合の賃金水準や雇用条件が良い側面があります。しかし、同じ職種や地域の他産業労働者の労働条件を底上げしていくことが、私たちの労働条件を向上させることにも繋がります。そして農協・共済の労働条件向上が地域の労働条件の底上げにも繋がる“循環”を進めていくために、要求作りの際にも職場の仲間の実態、地域の人達の実態を聞き、知る、そして一緒に行動することが労働組合においても重要です。

<農協・農業共済組合の動き>
政府は、TPP参加を前提に農業分野への民間企業参入や企業の農地保有緩和、生乳取引の自由化など規制改革を進めようとしています。2016年4月に施行された改正農協法で農協中央会の一般社団法人化、農協の公認会計士監査の義務化、農協理事選出の要件緩和が決まりました。
農協中央はTPP反対運動に消極的になり、政府の農政の枠内での取り組みを進めようとしています。2015年11月の北海道農協大会でも農業所得倍増を目指す事が決まりました。連合会と単協との役割明確化、単協負担の軽減を目的に共済連は自動車事故センターの各地域集約化を進めています。ホクレンは2016年5月に約30億円の手数料引き下げ、単協・農家組合員への還元を決めました。正組合員の減少による将来不安の中で、「農家への利益還元」名目で労働者へ犠牲を強いることが危惧されます。

農業共済組合は、2017年3月に道央地区の9共済、道南地区の5共済が合併して全道5団体体制となります。広域合併に対して転勤や人員体制など不安の声があがっており、既に合併したところでも、獣医師不足、人工授精部門の収支や今後のあり方、業務体制の合理化など職場では様々な問題が続いています。また、TPP参加を前提に収入保険制度が2018年実施を目途に計画されていますが、農業共済団体が収入保険の事業主体になれるかどうかは予断を許さない状況です。将来、収入保険制度と災害補償制度のあり方が見直される時に農業共済団体がどうなるのか、その際に家畜診療体制はどうなるのか先行きは不透明です。

<「このままでいいのか」の声に応える労組活動を>
多忙な業務の中、労働組合活動が負担になってしまっているかもしれません。労組内でも「もう要求することはない」「要求しても勝ち取れない」とのあきらめの声がある一方、「何とかしたい」「少しでも良い職場にしたい」という声、労働組合への期待の声もあります。忙しく余裕のない今だからこそ、職場を改善するために労働組合が必要です。なかまの思いに応える取り組みを進めるために、以下の点を重視しましょう。

 


①職場の問題点に気付き、みんなで共有する

意外と自分の職場以外のことは知らないものです。振替休日が溜まって処理しきれない、時間外申請は部長で却下される、結婚したら女性は退職するのが当たり前…、こんなことが当たり前になっていませんか?今の職場が「異常」ではないのかを知るきっかけとして労働組合での話し合いを設定してみましょう。問題点に気付くことの難しさもありますが、法律はどうなっているのか、他の農協・共済、他産業ではどうなのか、情報収集には道農協労連を活用して下さい。

②「何のため、誰のために働く」のか広く学習

労働組合は、私たちの要求実現、労働者の賃金や労働条件を改善することが存在理由の一つです。しかし私たちの要求は賃金や労働条件だけでしょうか。「いい仕事をしたい」「仕事上に役立つことを学びたい」というのも大切な要求です。
また、労働組合は事業運営を厳しくチェックしていくことが求められます。経営側の問題点を把握するためにも、自分達が農協・共済組合で働くことの意義、農家組合員や農業の現状、農協・共済のあり方を労組として学ぶ必要もあります。「経営の問題と労働者の問題」は二項対立するのではなく、「経営の問題も労働者の権利も」一体的に考える事がますます重要です。今の職場、働く私たちの意識を変えるために、広く農業分野をはじめ学習する機会を設けていきます。

③「労働組合で解決すること」の意味

職場班などでは様々な意見が出されます。わがままと思われる意見もあるでしょう。しかし、頭から意見を取り上げないという姿勢は避けるべきです。多くの意見を労組の要求にするためには、時間も手間もかかることですが、「多くの労働者に共感できるものか」「法律に照らし合わせてどうなのか」「今すぐ改善を要するものなのか」「他の職場や他産業はどうなのか」など丁寧に議論し職場へ理解を求めていく執行部の姿勢も大切です。
労働者は、経営側に対等に意見を言う立場ではありません。労働者がバラバラでは強い経営者と立ち向かえません。労働組合と職員会などとの決定的な違いは、経営者と対等に団体交渉を持つことができ、納得できなければストライキを実行することが法律上保障されていることです。しかし現実には、労使対等が保障されず、労組側も意識せずに交渉ルールがないがしろになっている状況があります。もう一度、労働組合が持つ権利を学びながら、要求実現のために日々の労組活動、労使交渉でも意識し、経営側の不当な動きに機敏に抗議するようにしましょう。

④執行部の決意と粘り強さが要求実現のカギ

執行部に選出されて活動することが負担になることは否めません。しかし誰かがやらなければならないことです。自分も含めた労働者の代表として、自分の職場と働き方を考える良い機会として前向きに取り組んでいきましょう。一人だけで労組活動を行うわけではありません。みんなの知恵と力を出し合わなければ、特定の個人へ負担をかけることになりかねません。そのためにも道農協労連も活用しながら、執行部全体での協力体制を構築し、執行部も労組員も労働組合の必要性を継続的に学習しながら、要求実現のため力を合わせることを再確認していきましょう。